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2008年に発行された幻の冊子。テーマは「南のムラ」そして「水を巡る旅」。
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食のたからもの再発見
東京財団2009年度政策提言プロジェクト全25編。今の時代に残る各地の食の「記憶」をまとめた貴重な記録。「釜炒り茶」「木曽赤かぶ」を担当。各方面で活躍中の執筆陣に叱咤され貴重な経験させてもらった。椎葉村、九州のお茶は忘れられません



味の箱舟/ark of taste
2007年、スローフード協会のプロジェクトに協力。現在22品目が国際認定を受けた、日本の「味の箱舟」品目のうち13品目の認定を手伝った。認定品目(英語)はこちら

ここきち!
知人のMさんがやってる農家レストランポータルサイト。

国友農園
高知県いの町、山奥の実生自生のお茶を再生させた釜炒り茶。自然とともにあるお茶の原風景が広がって

熊野鼓動!
がんばってほしい友達がいるところ。

お米のふなくぼ
お米のこと、ごはんのことを大切に考えるお米屋さん

森の空想ミュージアム
宮崎県西都市。児湯郡木城町茶臼原のすぐそばで、祈りの空間。主宰は高見乾司さん。九州の民俗仮面博物館もある

*ナナオサカキ*
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- 2010/06/15/Tue 06:20:28
- CATEGORY:[toki]食のりんかく
土地の記憶…テロワール

ぶどうが吊るされていた。イタリアの世界遺産の町、チンクエ・テッレというところで栽培されているワイン用のぶどう。ハエにたかられるのもなんのその、地中海の風でその甘美は凝縮されて、琥珀色のシャケトラというワインが生み出される。何年か前に行ったんだった。イタリアはフランスに至る文化の通り道でもあり、そんな場所で、今に洗練される前の、当時の造りが今も大切にされているんだそうだった。
テロワール(terroir)という言葉を、2004年、当時スローフード協会の副会長をしていたジャコモモヨーリさんから教わった。ジャコモさんはANAの機内誌でワインの連載エッセー「未完成なワインへのオマージュ」を書いているから、そちらを読むと、彼のワインへの視点がどんなものかわかると思うが、このテロワール、WIKIで引いてみると…
…とのことのようだが、当時の僕は“土地の記憶”と(よくやるのだが)勝手に日本語訳をして、その言葉の響きに悦に入っていた。ワインはその土地の気候や土質などが微妙に関係する。ぶどうが育つその土地の土くれを手にとってもわからない違いの何かに、様々な要因が働きかけ反応させて、その土地固有の味わいや香りを昇華させる媒体が、この場合ワインなのだ。人々は今年はどこのワインがおいしい、今年はどこどこのワインが当たり年だと土地ごとの違いを称え、楽しむ。ボクの興味は日本のお茶だったのだが……葡萄園(葡萄畑)の土壌、地形、気候、風土など、ブドウの生育環境を総称してテロワール(Terroir)という。
残念ながらお茶ではそんな話聞いたことがない。全く。
せめて生産者の顔が見えるお茶ということで、全国に呼びかけてPRしようと考えた取り組みが、畑ごとに逸品のお茶の味わいがあると始めた2006年の“一園逸茶”だ。仕掛けは当時Radixの会で事務局長をやっていたボク(えへん!)。今でも静岡有機茶農家の会が事務局になって、南條美和子さん中心にがんばっている。さて、ぶどうの樹は比較的痩せた土地に向くと言われるが、それは有機物すなわちチッソ成分の貧弱な土地であって、植物が吸収するすべての栄養分の比率ではチッソ成分以外が多い土地だ。生育は遅く、大きくは育たないから、量を期待する作物には不向きだが、収量が少ない分、様々な成分が凝縮して、味や香りに関係するだろう多様な反応の期待値が高まるのではないか。ぶどうの根も、土地が痩せている分、少ない栄養分をできるだけ多く摂取しようと深く、広く伸びるだろうから、野生の樹々が岩のわずかな隙間に根を張るように、耕土、表土を通り過ぎて、その先端は土地の骨格たる岩石層まで伸びるのかもしれない。かくして表土の生物層の多様性に加え、ぶどうの樹は地質学的な土地の個性をも獲得することになる。これがテロワールの本質なのか。

写真は先述のジャコモさんと佐藤陽子さん。なぜか大分県安心院にて。佐藤さんは農家民宿・キッチンガーデンサトウのオーナーで、なぜか安心院でテロワールの話を聞いたんだ。ここが葡萄の産地だったからかどうか、よく思い出せない。
それにしてもワイン、普段そんなに飲むわけじゃないが、時に「ああなんて芳しい~」なんてうっとりした思い出もないわけじゃない。よく考えると、何かの香料を混ぜてるんじゃなく、あの香りがどこから生まれてくるのか、あの芳香成分の源が土と微生物から生まれてくるとはすごいことだと思う。こう考えると、土の記憶に、土の響きに近い食べ物と、土から遠い、土とは凡そ無関係な食べ物っていう分類も成り立つような。ワインのようにその違いが明確なものもあるだろう、違いがわかりにくいものもあるだろうが、そこらへんが、「食のりんかく」の分水嶺のようでもあるのだ。
僕が最近読み進んでいるお茶の本にも心当たりのある指摘が散見される。曰く、実生で長い時間をかけてそだった在来種の茶樹は根が深く5~7mも伸びている、山で粗放的に育った茶樹からつくられる茶の香気は強い、早出しを目的に化学肥料を多投した茶は香りに欠ける……
茶にテロワールが結びつく、それはほぼ確定的だろう。
お茶だけじゃない、いろんな食べ物が……
せめて生産者の顔が見えるお茶ということで、全国に呼びかけてPRしようと考えた取り組みが、畑ごとに逸品のお茶の味わいがあると始めた2006年の“一園逸茶”だ。仕掛けは当時Radixの会で事務局長をやっていたボク(えへん!)。今でも静岡有機茶農家の会が事務局になって、南條美和子さん中心にがんばっている。さて、ぶどうの樹は比較的痩せた土地に向くと言われるが、それは有機物すなわちチッソ成分の貧弱な土地であって、植物が吸収するすべての栄養分の比率ではチッソ成分以外が多い土地だ。生育は遅く、大きくは育たないから、量を期待する作物には不向きだが、収量が少ない分、様々な成分が凝縮して、味や香りに関係するだろう多様な反応の期待値が高まるのではないか。ぶどうの根も、土地が痩せている分、少ない栄養分をできるだけ多く摂取しようと深く、広く伸びるだろうから、野生の樹々が岩のわずかな隙間に根を張るように、耕土、表土を通り過ぎて、その先端は土地の骨格たる岩石層まで伸びるのかもしれない。かくして表土の生物層の多様性に加え、ぶどうの樹は地質学的な土地の個性をも獲得することになる。これがテロワールの本質なのか。

写真は先述のジャコモさんと佐藤陽子さん。なぜか大分県安心院にて。佐藤さんは農家民宿・キッチンガーデンサトウのオーナーで、なぜか安心院でテロワールの話を聞いたんだ。ここが葡萄の産地だったからかどうか、よく思い出せない。
それにしてもワイン、普段そんなに飲むわけじゃないが、時に「ああなんて芳しい~」なんてうっとりした思い出もないわけじゃない。よく考えると、何かの香料を混ぜてるんじゃなく、あの香りがどこから生まれてくるのか、あの芳香成分の源が土と微生物から生まれてくるとはすごいことだと思う。こう考えると、土の記憶に、土の響きに近い食べ物と、土から遠い、土とは凡そ無関係な食べ物っていう分類も成り立つような。ワインのようにその違いが明確なものもあるだろう、違いがわかりにくいものもあるだろうが、そこらへんが、「食のりんかく」の分水嶺のようでもあるのだ。
僕が最近読み進んでいるお茶の本にも心当たりのある指摘が散見される。曰く、実生で長い時間をかけてそだった在来種の茶樹は根が深く5~7mも伸びている、山で粗放的に育った茶樹からつくられる茶の香気は強い、早出しを目的に化学肥料を多投した茶は香りに欠ける……
茶にテロワールが結びつく、それはほぼ確定的だろう。
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