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2008年に発行された幻の冊子。テーマは「南のムラ」そして「水を巡る旅」。
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食のたからもの再発見
東京財団2009年度政策提言プロジェクト全25編。今の時代に残る各地の食の「記憶」をまとめた貴重な記録。「釜炒り茶」「木曽赤かぶ」を担当。各方面で活躍中の執筆陣に叱咤され貴重な経験させてもらった。椎葉村、九州のお茶は忘れられません



味の箱舟/ark of taste
2007年、スローフード協会のプロジェクトに協力。現在22品目が国際認定を受けた、日本の「味の箱舟」品目のうち13品目の認定を手伝った。認定品目(英語)はこちら

ここきち!
知人のMさんがやってる農家レストランポータルサイト。

国友農園
高知県いの町、山奥の実生自生のお茶を再生させた釜炒り茶。自然とともにあるお茶の原風景が広がって

熊野鼓動!
がんばってほしい友達がいるところ。

お米のふなくぼ
お米のこと、ごはんのことを大切に考えるお米屋さん

森の空想ミュージアム
宮崎県西都市。児湯郡木城町茶臼原のすぐそばで、祈りの空間。主宰は高見乾司さん。九州の民俗仮面博物館もある

*ナナオサカキ*
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- 2010/05/28/Fri 21:34:36
- CATEGORY:[mono]お茶
深蒸し茶(藤枝・塚本さん)

お茶の勉強会、っていうか、お茶の淹れ方教室に参加した。
先生は、静岡有機茶農家の会という団体の事務局をしている南条美和子さんと、藤枝でお茶を生産している塚本忠紹さん。もう昔から交流させていただいている面々。消費が低迷していると言われていて、エールを送る気持ちも大、でもそこは勉強会、かしこまりしっかり学ぼう、と参加です。こういう勉強会を時々開いているのはらでぃっしゅぼーや。有機野菜の宅配やっていて、ボクもここのスタッフ。横浜市青葉区に「スタジオ@青葉台」というスペースを持っている。
自園茶、っていう言葉をご存知だろうか?自分の園で、自分で製造し、自分で販売もする。これらを農家が一貫して行なっている、まあ一貫生産のお茶、っていうことだが、ふつう生産した茶葉は業者が買い取り、製造メーカーでいろいろブレンドされるわけだから、また別の言い方をするなら、茶園別ストレートティー。お茶の業界では、ペットボトル入りのお茶の消費拡大に反比例するように、この自園のお茶つくってる農家の方が減っている。高齢化だし、やはり自力で販路を維持するだけで難しいのに、肝心のお茶生産は自然が相手、出来不出来を自分の園だけで調整するのだって至難の業だ。しかしそんなリスクを差し引いて余りあるよさを、こと自園茶はそなえている。
それはまず第一に、まじりっ気がまったく無いこと。出来不出来もストレートに反映するが、間違いなく自園のお茶は、畑、品種、栽培方法のすべてが特定できる。第二に、作り手は、販売するお茶の出来不出来についてまったく言い訳ができないのだからこりゃ真剣。すえての工程で手抜きができない、全部自分の責任で経営が左右されるのだ。静岡有機茶農家の会は、そんな自園茶の生産農家4件が集まっているところ、しかも有機栽培。もう20年来のお付き合いで、一園逸茶という取り組みでは、一緒にイタリアのスローフードのイベントでデモンストレーションやっちゃったりした仲でもある。



塚本さんのお茶の製法は、深蒸しと言われる。蒸してつくる煎茶の、蒸す時間を長くして、どちらかというとお茶の味わいを引き出すもの。この方法は、どうだろう、もう20年近くもお茶業界の主流に近くなってると思うほど新党していて、実はあまりいい評判を聞いてこなかった。どんな茶葉も十把ひとからげ、とばかりズタズタに蒸してしまえば、素材の選好関係なしに、味を引きずり出すことができるし、煎も利く。何回でも緑色が出るから業務用などできわめて好都合。だから通の人々の間では敬遠されがち。本来の深蒸しの真骨頂は、新芽の若い部分、ミル芽という部分だけをターゲットにして、これを長く蒸すことで萌黄色の、新芽のみがもつエグ味のない甘さや旨味を楽しむところにあると聞いたことがあるが、現代の深蒸しの方向性が、上述のように、まったく正反対の方向に進んでいるということだ。
さて、塚本さんの深蒸し茶は、こうした偏見を覆して余りあった。ボクにとっては目ウロコで、機械刈りとはいえ新芽ひとつひとつを丁寧に刈り取って、茶葉に気になるようなコワい葉が少なく、「手でさわってください」と促され触れたその繊細な手触りは目を閉じてそれだけで心が落ち着くような、しっとりした感触。目をそこに移すと細かな葉っぱのつややかなこと。しっかりつくってるんだナと感じられるそのことが、勉強会で話す塚本さんの話の真実味を増幅させる。
塚本さんの茶園はいつもなら4月25日ごろが茶摘みの時期なのだが今年は遅霜にやられ、収穫作業を始めたのが5月の連休以降。傾斜のキツい畑なものだから、生長の度合いも勢いバラバラ、だから芽をそろえるのが大変だったという。そりゃそうだ。固さ太さが違う葉をごっちゃにしたら、それこそさっきの、出来不出来ごっちゃの、評判わるい「深蒸し」作っちゃうことになる。ここをうまく揃えないと、蒸しの時間をうまく葉に合わせることが出来ない。その出来具合について塚本さんは、野球の選手で3割バッターのすごさと同じという。アベレージで3割、最高の出来のお茶に仕上げるために蒸し、火入れの工程に神経使うという。そして経営としては、不出来が出ても、そこはなんとかしちゃいます(笑)とのお答えも、真剣さが伝わるからその正直さにまた真実味が増す。
写真でわかるだろうか、上右のものは、茶の水色を見る専用の献杯茶碗に、茶葉5g、70℃のお湯125ccを注いで30秒ほどの状態。柔らかそうな茶葉が開き始めようとしており、その上質な感じ。下の写真は40秒後に淹れたところ。茶に萌黄が移動して、残った葉は緑美しく、実は香りはこの茶葉のほうに良く残っていた。味わいは、旨味のお茶。玉露みたいなアミノ酸系じゃなくて、青々とした旨味というか。いいお茶と思ったので、今度はうんと低い温度で淹れて見ようと思った。



塚本さんのお茶の製法は、深蒸しと言われる。蒸してつくる煎茶の、蒸す時間を長くして、どちらかというとお茶の味わいを引き出すもの。この方法は、どうだろう、もう20年近くもお茶業界の主流に近くなってると思うほど新党していて、実はあまりいい評判を聞いてこなかった。どんな茶葉も十把ひとからげ、とばかりズタズタに蒸してしまえば、素材の選好関係なしに、味を引きずり出すことができるし、煎も利く。何回でも緑色が出るから業務用などできわめて好都合。だから通の人々の間では敬遠されがち。本来の深蒸しの真骨頂は、新芽の若い部分、ミル芽という部分だけをターゲットにして、これを長く蒸すことで萌黄色の、新芽のみがもつエグ味のない甘さや旨味を楽しむところにあると聞いたことがあるが、現代の深蒸しの方向性が、上述のように、まったく正反対の方向に進んでいるということだ。
さて、塚本さんの深蒸し茶は、こうした偏見を覆して余りあった。ボクにとっては目ウロコで、機械刈りとはいえ新芽ひとつひとつを丁寧に刈り取って、茶葉に気になるようなコワい葉が少なく、「手でさわってください」と促され触れたその繊細な手触りは目を閉じてそれだけで心が落ち着くような、しっとりした感触。目をそこに移すと細かな葉っぱのつややかなこと。しっかりつくってるんだナと感じられるそのことが、勉強会で話す塚本さんの話の真実味を増幅させる。
塚本さんの茶園はいつもなら4月25日ごろが茶摘みの時期なのだが今年は遅霜にやられ、収穫作業を始めたのが5月の連休以降。傾斜のキツい畑なものだから、生長の度合いも勢いバラバラ、だから芽をそろえるのが大変だったという。そりゃそうだ。固さ太さが違う葉をごっちゃにしたら、それこそさっきの、出来不出来ごっちゃの、評判わるい「深蒸し」作っちゃうことになる。ここをうまく揃えないと、蒸しの時間をうまく葉に合わせることが出来ない。その出来具合について塚本さんは、野球の選手で3割バッターのすごさと同じという。アベレージで3割、最高の出来のお茶に仕上げるために蒸し、火入れの工程に神経使うという。そして経営としては、不出来が出ても、そこはなんとかしちゃいます(笑)とのお答えも、真剣さが伝わるからその正直さにまた真実味が増す。
写真でわかるだろうか、上右のものは、茶の水色を見る専用の献杯茶碗に、茶葉5g、70℃のお湯125ccを注いで30秒ほどの状態。柔らかそうな茶葉が開き始めようとしており、その上質な感じ。下の写真は40秒後に淹れたところ。茶に萌黄が移動して、残った葉は緑美しく、実は香りはこの茶葉のほうに良く残っていた。味わいは、旨味のお茶。玉露みたいなアミノ酸系じゃなくて、青々とした旨味というか。いいお茶と思ったので、今度はうんと低い温度で淹れて見ようと思った。
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