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プレモダンからポストモダンへ…食べものの境界線2

 情報はネット、リアルはグローバル物流。

 ……僕には過激に聞こえる梅田望夫さんのサバけ方。実は内心気になり始めていた。国産とか自給とかの叫び声に、どんな必然性があるのかと、いま一度考えてみたかった。国産とか自給とかへの固執はもはや不自然なんじゃないか?同僚に議論をふっかけたりもしていた。僕自身は、食も人間関係も可能な限り近いのが理想と思うが、それが正しいのかを、反論を仮定して検証したくなっていた。

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 そしてきのうは、読み終えた『今日の芸術』(岡本太郎著)の文中に、似たようなひっかかりを拾ってしまった。画伯が抽象絵画のことを“国境を越えた世界絵画”と位置付けたうえで、

この形式は世界共通語として、だれにでも語り掛けることができる。純粋な線、リズム、色彩には、人と人とのへだてをつける地方色というものはありません

世界は無数の小さな世界にわかれていました。各国、各地方にそれぞれ特有の風俗習慣があり、それがかなり純粋に保存されていたのです……おのおの限られた地域の中の別世界に住んでいたわけです

とし、

今日、世界はますます同質化してきています。それは、西洋的とも、東洋的とも言えない、まったく新しい世界的雰囲気です

と説明していたのだ。

 梅田さんのblogでの発言()の主旨は、ネットやグローバル物流の恩恵により海外でも日本語や日本食、日本の文化を容易に入手できるようになったと書いているに過ぎない。岡本太郎さんの内容は、狭い日本に囚われることなく、世界意識を獲得せよ、そのポジションから再度自らの内面や日本を真剣に考え体現せよ、というような脈絡だった。時代が世界を意識させていたのだろうとも理解する。

 僕は情報について、梅田さんがweb進化論で展開しているような“情報そのものについての革命的変化”という見識に認識を新たにしたし、素直に受け入れているのだが、転じて“食の流通そのものについての革命的変化”という整理がすなわち“グローバル物流”であるとすれば、素直には受け入れられない。“食文化から見た地域の重要性について”()に書いたとおり、僕はその弊害を指摘する立場にいる人間だ。しかし梅田さんの未来観や岡本太郎さんの認識は、僕らのように食に関わっている者の近視眼的な見方とは違い、より遠くを見渡しているのかもしれない。そのような立場で食の未来を考えたとき、自給とか国産とかを金科玉条金太郎飴のように唱えるのは、どんなもんだろう。

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 さて画伯の世界認識は縄文文化からの啓示をも享受し、そこから芸術が“バクハツ”した。世界的雰囲気の中で日本のプリミティブを見出していったのである。モダンまたはコンテンポラリーなリベラルを軸に、氏はプレモダンを武器にして再度モダンと戦い、ポストモダンを創り出したともいえる。

 自給自足以上世界中未満(宇宙食をのぞく)。そのどこらへんに、食べものの境界線があるのだろうか?仮に狭義の国産主義、自給論議をプレモダンと捉えるなら、食におけるポストモダンとは、どんな世界なのだろうか?

今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社文庫)

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