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2008年に発行された幻の冊子。テーマは「南のムラ」そして「水を巡る旅」。
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食のたからもの再発見
東京財団2009年度政策提言プロジェクト全25編。今の時代に残る各地の食の「記憶」をまとめた貴重な記録。「釜炒り茶」「木曽赤かぶ」を担当。各方面で活躍中の執筆陣に叱咤され貴重な経験させてもらった。椎葉村、九州のお茶は忘れられません
味の箱舟/ark of taste
2007年、スローフード協会のプロジェクトに協力。現在22品目が国際認定を受けた、日本の「味の箱舟」品目のうち13品目の認定を手伝った。認定品目(英語)はこちら
ここきち!
知人のMさんがやってる農家レストランポータルサイト。
国友農園
高知県いの町、山奥の実生自生のお茶を再生させた釜炒り茶。自然とともにあるお茶の原風景が広がって
熊野鼓動!
がんばってほしい友達がいるところ。
お米のふなくぼ
お米のこと、ごはんのことを大切に考えるお米屋さん
森の空想ミュージアム
宮崎県西都市。児湯郡木城町茶臼原のすぐそばで、祈りの空間。主宰は高見乾司さん。九州の民俗仮面博物館もある
*ナナオサカキ*
- 2007/04/26/Thu 02:35:34
- CATEGORY:[toki]食のりんかく
主体を自らに引き寄せて
ボクがBM技術協会の機関紙『aqua』に、少しだけスローフードの本のことを書いた件はこの前触れたが、あの後、その団体の椎名さんに「おごってやる」と呼ばれたのだ。
まず椎名さんから「おまえは活動家でも官僚でもなく表現者なのだということがワカッタ。どんどん書け!」と一喝され、うれしいやら悲しいやらだったのだが、その話を聞いて、そもそも僕らを巡る“食”の問題は、いったいどこにあるんだろうかについて、考えさせられた。
書く前に、椎名さんから「農家はどんどん本読まなきゃいけないのだ」と言われていたこともあり、まずは「主体を自分に引き寄せて、知識や見聞を広げていくのもいい」とだけ(農家の皆さんに)(とてもじゃないが「表現者」にふさわしいとは言えない言い回しを使って)書き、それらしくお茶を濁したことも心に残っていた。
その日の椎名さんの話は、宮元常一や柄谷行人なんかの名前がぽんぽん出て来、自分が最近貪るように読み漁りしている世界史のことや、料理という文化、特にヨーロッパのこともオーバーラップして、さて表現者とは何をどう表現するのかについて、不肖ながら考え始めてしまったのだった。
そのとっかかりは第一に「“食”という視点から世界なり内面なりをしっかりフォローしていく」……という立場に立つことだろう。
第二に、食糧、農業などから規定され、暗に自らを“糧を業とする者”としての“農業者”という言葉に、精神的にも経済的にも安住してしまっている「農家(と呼んでいいのかどうか)の皆さんに、何らかの“知”を以ってその固定観念、諦観を脱却してもらう」……という方向性を備えるということだろう。
そのうえで第三に「“食”に求められるつくり手と食べ手双方の価値観、価値基準を転換させる(もう転換し始めている)メッセージを紡ぎ出す」……という発信力を身につけることだろう。
そのヒントとして考えているのが、まだ言葉足らず、こなれていないのだが、“食”の備える価値を、物の価値から情報の価値、メッセージ性にシフトしていくべきではないかということだ。
このことをうすうすと感じたのは、フェラン・アドリアからだ。表面上はミシュラン三ツ星、想像もつかない味としてのヨーロッパ先端の食の“知的エンターティメント”を伝えるに留まるが、これを深読みすると、ソシュールやバルトなど言語、記号学、構造主義などなどにビミョーに触れてくる。要は“食”は媒体であって、文学のようにフクザツな記号として自己組織化……やめとこう、ワケわかんないと女房に揶揄される。
例えば、充たされた食を享受している現代社会が、その裏側の飢餓貧困も内在させている以上、日本の国は様々に、外国の食を始めとしたモノやサービスを受け入れなければならないだろう。このとき日本の“食のつくり手たち”が、農地や自然、野生を手放していいはずがない。守るとか、国が守るべきであるとかではなく、自らの知性感性によって、その美として育むことによって、もっと高度に社会の了解を獲得するべきなのではと思われるのだ。ということでもあるし、多分別の意味で思想的なことでもある気がする。
こうしたことを「……せざるを得ない」で追い込む手順ではなく、自ら先に紡ぎ始めることの含意として、椎名さんの「どんどん本読まなきゃいけない」があったような気がするし、「主体を自分に引き寄せて」も通じてくると思う。あとは表現の質である。修行である。
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