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2008年に発行された幻の冊子。テーマは「南のムラ」そして「水を巡る旅」。
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食のたからもの再発見
東京財団2009年度政策提言プロジェクト全25編。今の時代に残る各地の食の「記憶」をまとめた貴重な記録。「釜炒り茶」「木曽赤かぶ」を担当。各方面で活躍中の執筆陣に叱咤され貴重な経験させてもらった。椎葉村、九州のお茶は忘れられません



味の箱舟/ark of taste
2007年、スローフード協会のプロジェクトに協力。現在22品目が国際認定を受けた、日本の「味の箱舟」品目のうち13品目の認定を手伝った。認定品目(英語)はこちら

ここきち!
知人のMさんがやってる農家レストランポータルサイト。

国友農園
高知県いの町、山奥の実生自生のお茶を再生させた釜炒り茶。自然とともにあるお茶の原風景が広がって

熊野鼓動!
がんばってほしい友達がいるところ。

お米のふなくぼ
お米のこと、ごはんのことを大切に考えるお米屋さん

森の空想ミュージアム
宮崎県西都市。児湯郡木城町茶臼原のすぐそばで、祈りの空間。主宰は高見乾司さん。九州の民俗仮面博物館もある

*ナナオサカキ*
- 2011/04/18/Mon 23:33:11
- CATEGORY:[toki]つれづれ…
エーゲ海に浮ぶ舟
内山節さんが30代後半、『自然と労働』をぐるぐる思索し逍遥していた頃に書いたと思われるエッセイ。北ギリシャ、テサロニキに近い寒村、プラトモナスというところに滞在し、そのゆったりとした暮らしを描写している。一部を抜粋しました……
エーゲ海に浮ぶ舟
朝八時になるとエーゲ海には一艘の船が浮ぶ。小舟というより公園のボートといった方がよいその舟は、ふだんは漁師の家の前の浜につながれている。毎朝その時間になると妻を舟の上に乗せて、夫が沖へと舟を押していく。膝が水に濡れるところまでくると夫は舟にとび乗り、ちょうど公園のボートを漕ぐように沖へと漕ぎ出していく。舟の上には人形のように座っている妻の姿がみてている。
私は毎朝浜で朝食のパンを食べながらその光景をみていた。一キロほど沖に漕ぎ出すと漕ぎ手がかわる。妻がオールを持って、ゆっくり、ゆっくり漕ぎはじめる。夫は立ち上がって海に網を入れている。わずか五分ぐらいの時間だ。最後に網から伸びた綱が舟の後尾にしっかりと結ばれる。
また漕ぎ手がかわった。夫は海辺の一キロ沖を、岸と平行に、真一文字に全速力で舟を走らせtれいる。体中からきっと汗をふきだしていることだろう。エーゲ海の青い海と青い空の境界線近くに、一本の筋が伸びていく。
胃一キロも漕いだだろうか、舟の速度が落ちた。船は向きをかえて、ゆっくり岸近づきはじめた。そんなとき私はよく砂浜を走って舟が浜に着くのを待った。浜辺にのり上げるまで、海のなかにとび降りた夫が舟を押してくる、舟が浜に上がり、その後からは網が上がってくる。夫は舟に結ばれた綱おはずし、網を背中にしょい上げる。そして浜辺のすぐ前の家へと入っていく。
その家が村の魚屋だった。魚屋の店先に網が降ろされ、なかから海老やスズキや……。何百匹かの魚が降ろされる。夫はからになった網を持って、妻の待つ小舟に戻る。また海に舟を浮べ、一仕事終えた満足感をただよわせながら自分の家へと帰っていく。
(『山里紀行』日本経済評論社刊、P67)
……これは価値のない風景だろうか? 目をつぶってはいけない風景だと思おう。忘れようとしてはいけない風景だと思おう。僕はこのような視点で見つめ、価値を考える個人であろうと思おう。
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